フェイク(Fake)
歌のなかで「フェイク」する、とは、本来のメロディーの一部をリズムや音程を変えて自由に唄う事を言います。唄っていくなかで、感情のたかまりを自由に表現しようと思った時、メロディーの制約から離れて、「心のままを優先」して唄う事です。
より「エモーショナル = 感情的」で自由な唄い方です。
「即興的な歌=アドリブ(improvisation)」の一部分であり、基本的要素ともいえます。
誰でも、唄い慣れた曲なら、もっと自分勝手に、自由に、その時の感情のままに唄いたくなるでしょう。
もしかしたら、もうあなたも「フェイク」して唄ってる曲がすでにあるかも知れません。
よくある、曲のサビ部分を何回もリピートして繰り返し唄う時など、毎回同じに唄うより、だんだんと変えて唄い続けたいと思った事があるはずです。そんな時こそ「フェイク」の出番です!
ブラックミュージック
ブラックミュージックにおける「フェイク」に関しては、昔からもそうなのですが、特に最近この「フェイク」が多く、まるで「フェイク競争」の様に思える程です。(笑) 古くは、「サム クック」「レイ チャールス」「ダニー ハザウェイ」「マーヴィン ゲイ」「スティヴィー ワンダー」「アル グリーン」「アレサ フランクリン」「チャカ カーン」「ルーサー ヴァンドロス」などが私の大好きな「フェイクの達人」の方々ですが、最近の若手シンガー達もこれら先人達をお手本として、皆さんフェイクに磨きをかけています。
[Brian McKnight] [Musiq] [Eric Benet] [Alicia Keys] [Usher] [Trey Songz] [R.Kelly] 等々数え切れないのでこの辺にしておきます。
皆、ブラック特有の強くて柔らかい筋肉のおかげで(エモーションは勿論の事ですが)早いパッセージのフェイクも「ツブダチが良く=各音がつぶれなくてはっきり聴こえる」見事に唄っています。
時には、本来のフェイク、つまり感情のおもむくまま自然に出て来た唄い方、ではなく、最初から作っておいた「疑似フェイク」なのではないかと思われるものもありますが、私の勘違いでしょうか・・・?
まあいずれにせよ皆さん「フェイク」に関してもかなり研究してるのは間違いありません。少し前は、歌と歌の間に間奏があり、楽器がソロやアドリブを入れていたスタイルが多かったのですが、このフェイク流行?のせいか、めっきり少なくなってその代わりに、ヴォーカルコーラス+フェイクというスタイルになって来ました。
時代と共に音楽は変っていきますが、特にブラックミュージックにおいては、その変わり方が著しく感じます。彼ら特有の「グルーヴ感」がそれを支えてる様に思われます。
そして彼らの得意な、音楽用語で言う「3連ノリ」が、そのグルーヴの要である事も確かです。