リズムトレーニング リズム感の養成
リズム感は歌の基盤
ボイストレーニングで響きの良い声の出し方が出来れば歌が気持ち良く歌えると思い込む方が多いですが、果たしてそうでしょうか?
いざ歌う、となるとその良し悪しは『リズム』にかかっていると言っても良いくらい、 『リズム』は重要なポイントです。 発声のコントロールが出来て、美声の人も、リズム感が養われていないと、 躍動感のない、ダラーっとした、いわゆる『ベタベタ』の歌になってしまいます。『ノリ』 の悪い幼稚な歌に聴こえ、テンポの遅めの曲なら聴いている人に眠られてしまうかもしれませんね。
その典型は「頭ノリ」であったり、やたらと「長いリリース」で唄う事です。
「頭ノリ」とは、メロディーのアクセントを1拍目、2、3、4拍目などそれぞれの表拍子につけて唄う事です。
これは、硬くて柔軟性のない感じがします。 大勢で一緒に唄い合わせるならいいかもしれません。軍歌などがそのいい例でしょう。 童謡もほとんどがそうですね。
わかりやすい反面、色気やしなやかさは感じられません。スピード感も感じにくい唄い方です。
また「長いリリース」で歌うというのは、例えば一節(フレーズ)の終わり音符を全て長く延ばして、『間=ま』を取る歌い方とかで、短い符割に変えて歌うと「リズム」からはぐれてしまいやすい歌い方です。言い方を変えれば、『休符』 が見えない歌い方です。
身体でリズムを感じて歌えれば、決して怪しい『間』では歌わないでしょう。
あえて『間』という言い方でならば、『リズム』をしっかりとらえて歌えば、『間』もはっきりと見えてきます。『休符』をはさむ事が出来る分、『アクセント』 も自然と入ってくるでしょう。
グルーヴ・裏ノリ
前に述べた「頭ノリ」があるならその逆の『裏ノリ』(ウラノリ)もあるはずですね。
「裏」でノル、という事は、当然「表」がわかっての裏なので、簡単に言うと、1拍の長さが倍細かく解るという事になります。つまり1拍の長さがより正確に解ると言う事です。(拍数のことは下の音符表で参考にして下さい)
例えば4分音符を基本とすると、2分割した半分の長さが8分音符、さらにまたその倍細かく4分割した1つの長さが16分音符になります。
更に、ブラックミュージックの特徴的なリズムの取り方、1拍を6分割した1つの音符は、16分3連音符となり、この音符の組み合わせを使うと、ジャンプしながら転がって行く様な躍動感、いわゆる「スィング感」が生まれて来ます。
漠然としていた1拍の長さが、細かく分割する事で、はっきりとした1拍の長さに理解できてくるのです。『休符』をはさんでも、今どこの位置かがはっきりわかるのです。
1拍の長さが正確にわかって歌えれば、当然精神的に余裕が出来て、リズムを楽しめる、遊べる歌い方ができるのです。感情がリズムにも乗せられるのです。
いわゆる、『ノリ(グルーヴ)』 が明確に出てきます。
本来のメロディーを自由に変えて唄う『フェイク』をかける事も出来ます。
リズムをしっかりと身体に入れて、『裏ノリ』や『シンコペーション』=「複合リズム」を組み合わせて唄う事で、独特な『グルーヴ』が産まれ、より自由な感情表現が出来ます。
聴いている人にも、この『グルーヴ』=『ノリ』は、はっきりと心に入って行きます。
曲のテンポに関係なく、スローな曲でも全く同じです。
『グルーヴ』=『ノリ』があるか無いかで、唄の善し悪しが決まると言っても過言ではありません。
音符の長さの組み合わせ=リズム 音の長さを表すのが音符です。
全音符、2分音符、4分、8分、16分、32分、8分3連、16分3連、2拍3連、等々ですが、これらの音符の組み合わせでリズムが生まれます。簡単な算数みたいなものですが、人間の感情を刺激する様々な『パターン』があります。このいろいろな『リズムパターン』 を把握する事、感じ取れる事がリズム感を養う事になります。
『グルーヴ』しましょう!