ボイストレーニング方法 基礎知識
声を出すしくみとは、声帯を息で振動させて音を出すという簡単な事です。
その振動が速ければ高く、また逆に遅ければ低く響きます。また、振動は大きければ強く、小さければ弱く小さい音に響きます。人間は無意識にこれを応用して低い声、高い声、大きい声、小さい声を使い分けています。
歌うという時には、この簡単な原理を緻密にコントロールする事が必要になります。このコントロールが上手くできれば、自分の身体のなかに素晴しい楽器を持つ事になるのです。
ではどのようにすれば コントロール出来るようになるのでしょう?
簡単に言えば、神経 とその指令を受けて適格に働く筋肉を鍛える事と言えます。主に、腹筋、背筋、首、肩などの筋肉の働きが発声のために必要になります。声帯をうまく振動させれなければ、音程も音量も適格にコントロールできません。また、声帯を振動させる為の息も、その送りだす量やスピードの調整が適格でなければ、低い声から高い声まで綺麗に響きません。
更に喉のなかの空間の広さも声の音質に関わります。母音による響きの違いも把握しなければなりません。
このように書くと、発声のコントロールは大変な事に思えるでしょう。
確かに自由自在にコントロール出来る事は決して簡単ではありません。しかしこれも、ステップ バイ ステップでボイストレーニングする事で、必要な神経と筋肉をつくる事ができます。
声には、地声、 裏声、ハーフミックスボイスの3種類があります。
人により持っているレンジ(音域)は、元が低めの人、高めの人と様々です。
その音域も、低いほうは無理ですが、高域はトレーニングによってのばす事が可能です。
高い声を出そうと思った瞬間に神経が筋肉を縮めてしまい、自分で首を締めた状態にしてしまいます。これはつらくて苦しい発声です。これもまた前に述べたコントロールができないせいです。
無理矢理に怒鳴って出してしまおうとしても無理で、声帯を傷つけてしまう恐れがあります。 まあ、余談ですが、歌も好き嫌いのものですから、このような発声が、人によっては、たまらなく好きという人がいてもおかしくはありません。でも歌う本人にとっては、間違い無くつらい事でしょう。
特に地声での高音の発声は、速い振動と強い振動が必要なので、楽に歌えた低音の時とは違った息の調整や、その為の筋肉の使い方、更に喉の空間の開け方を要求されます。要するに、息の送り方が重要なのです。 そこで、ブレス(息継ぎ)の大切さが出て来ます。(、ったく、次々と出てきますね!笑ー)
歌う時の呼吸では、息を「吐く」方が圧倒的に重要です。
吸う事は意識しない方がいいくらいです。
吸う事に意識過剰になると、よけいな筋肉が働き、疲れるだけでなく、肺に入る量も逆に少なくなるからです。 息をはく方は腹筋の使い方がポイントになります。この腹筋の力で出す息の量やスピードを調整するのです。
短く細切れに発声する(スタッカート)時も、一息で長く出し続ける(ロングトーン)時も共に腹筋が上手く働く事により楽に安定したコントロールができるのです。
低い地声から徐々に高い方に移行して行くと必ず限界が来ます。その上からは裏声に変えていくのですが、この裏声(ファルセット)の発声法がとても重要です。「強くて高い声で歌う事こそが肝心なんだ!弱っちい裏声などどうでもいい!」とお考えの方も是非聞いて欲しいのです裏声で発声してる時は喉が締っていないので楽なのです。これがまたまたポイントなのです!
この弱い響きの裏声も、その喉の状態を保ちつつ地声に移行し続けると、喉が少しだけ締る感じですが、その分硬く、初めの裏声より強い響きに変わる所があるはずで、それが、ミックスボイスです。
そして、そのままで地声の音域まで下げていき、完全な地声に変える事ができれば、楽に広い音域を歌える事になり、喉を傷める事もなくなります。地声の限界付近の声質もそれ程「弱っちい」くはないはずです。
このように、トレーニングで発声の意識が変わり、身体が覚えていく事で、今まで諦めていたタイプの曲も、自分風に歌いこなせるようになります。
どのような曲をどのように歌おうが全く個人の自由です。自分の声に自信を持ち歌う事こそが大切です。
自分の感情、想い、メッセージなどを、楽しんで歌う事ができれば、人の心の内に伝わる事でしょう。